GRAND SEIKO REF.4522-8000

COMMENT

第二精工舎により1969年に製造された手巻きのグランドセイコー。通称45GSです。ケースは多面カットのステンレススチール製。鏡面とヘアラインの仕上げが切り替えられた秀逸な意匠です。ダイヤルはシルバーのサンレイ。バーインデックス×ドルフィンハンドの組み合わせはクラシカルです。針やインデックスはセンターにブラックを配しており、ゴールドのしっとりとした表情を崩さず、しっかりとした読時を可能にしています。搭載ムーブメント4522AはVFAや天文台クロノメーターのベースとなった最高峰のムーブメントです。69年の12月にクオーツ時計によって時計の世界が移ろう時代、第二精工舎が技術の集大成として製造した、最後にして最高峰の結晶と言えるでしょう。

コンディションが良くケースは過去に研磨歴が見られません。販売当初から特別な品であったこちらは、やはり大事に保管されていたようです。打ち傷などなく、職人技の繊細さが良く感じ取れます。裏蓋にのメダリオンに小傷は見られず、刻印が深く残っています。ダイアル、針、インデックスは共にくすみの無いコンディションです。弊社にて分解掃除を済ませていますので、ご購入後すぐお使いいただけます。

スイスの時計業界に単身戦いを挑んだSEIKOの夢の結晶です。歴史を秘めた象徴的な品もまた楽しみの一つです。

諏訪精工と第二精工舎(亀戸)はそれぞれの製品開発を通して、お互いを高めあっていました。その中で生まれた自動巻き61GSは諏訪精工舎、手巻きの45GSは第二精工舎において開発されました。手巻きで競われる天文台クロノメターコンクールに出場した45GSは好成績を収め、天文台クロノメーターモデルとして市販するまでに至りました。この偉業はコンクール自体を中止に追い込む歴史的な大事件に発展します。

BRAND

日本が世界に誇る時計ブランド＜SEIKO(セイコー)＞。1960年代は、機械式腕時計は完成期とも言えるほどの発展を遂げた時期で、セイコーは精度コンクールの分野でも量産の分野でも、世界に追いつき、追いぬいた時代でした。同時に、「時計の電子化」が進展し、1969年12月にセイコーが世界初のクオーツ腕時計を発売することにより、機械式腕時計からクオーツ腕時計へと大きく舵を切ろうとする時期でもありました。