GALLET MultiChron 12

COMMENT

クロノグラフの名門ギャレットまたはギャレ（GALLET）。当時は軍事やスポーツ、専門家向けと市民とはかけ離れたプロスペックスツールウォッチとして使用されていました。文字盤はきめ細やかな縦ヘアラインのシルバーダイアルで、外周のミニッツラインはギルトです。レターやインデックスはブラックのプリント。ミニッツの細かい目盛りや全て青焼きの針は古典的な意匠です。傑作クロノグラフムーブメントとして名高い「Valjuoux 72」を搭載しています。

ケースはエッジが立った素晴らしいプロポーション。目立った打痕がなく、高頻度での使用はされてこなかったことがわかります。シルバーのダイアルはルーペで見ると僅かにエイジングが確認できます。肉眼ではほとんど気にならないものです。ブルースチール針の色味はよく残っており、時計に瑞々しい印象を与えています。

マルチクロン12は、1930年代から1980年代初頭まで、何十年にもわたって製造されてきました。文字盤は使用された現場により、様々なバリエーションがあります。こちらの時計はどのように使用されてきたのか。歴史の深いブランドですので、研究する面白さのある時計です。 

BRAND

クロノグラフの名門。GALLETといえばクロノグラフのイメージが強く、1910年代から20年代にかけてワンプッシュ・クロノグラフを開発している。設立は1862年、ジュリアン・ギャレットによってスイスのラ・ショー・ド・フォンの地に＜ジュリアン・ギャレット社＞が。1883年には、息子のレオンに経営が託され、工場を＜レオン・ギャレット＞に。一方アメリカへの進出も早く、1864年になると子会社設立へ。クロノグラフはアメリカ海軍航空隊に供給され、40年代から50年代にかけてスイス空軍にも採用されるなど、長きにわたりパイロットたちの高い信頼も集めてきた。