OMEGA

COMMENT

ブラックミラーと金のコントラストが鮮やかなオメガ。ブラックの艶感がしっかりと残った個体は市場に少なく希少です。一段下がったインダイアルはレコード盤のように溝が彫られた繊細な作りで、ドルフィンハンドなどと合わせ、クラシックな意匠にあふれた個体です。ケースは厚めの金を被せるように覆ったゴールドトップ(GT)と呼ばれる構造で、当時まだステンレスにメッキを施す技術が発達しておらず生まれました。通常のメッキと比べ厚みがありますので強さが違います。裏蓋側から見ると金の層を目視することができます。防水スナップと呼ばれるこちらのケースは、分厚いパッキンをミドルケースと裏蓋で圧力を掛けながら固定するため、当時の新しい防水の方式としてシーマスターにも採用されました。

70年近く経過し、これだけコンディションの良いブラックギルトダイアルはたいへん希少です。写真では写らない程度のぷつぷつがありますが、ミラーの艶感がしっかりと残り、文字盤に針が反射して映り込むほどです。ギルトのゴールドレターはくすむ事なくキラリと反射するコンディションです。針には少々くすみがありますが、インデックスはつやつやです。ノンポリッシュのケースは使用の小傷がありますが、目に付くような大きな傷はありません。

バリエーションの多い30mmキャリバーの中で、こちらは耐震装置付き、巻き上げひげにチラネジを備え、使い易く且つクラシックな作り込みが美しい機械です。チラネジを備えたテンプは、万一の軸折れを起こした際の修理がしやすく、修理士として扱いやすい機械です。メンテナンス時のテストではパワーリザーブ45時間を記録し、1日あたりプラス10秒程度と精度も申し分ありません。アンティーク要素が満載でありながら煌びやかさを持った替えのきかないひと品です。

オメガを一躍世界ブランドに押し上げるきっかけとなった名機30mmキャリバー・スモールセコンドです。30mmキャリバーといえば、精度・耐久性に優れています。アンティークオメガのなかでも、一際人気の高い機構。日常的にお使いになる場合はメンテナスをしながら末長くお使い頂ける時計です。

BRAND

19世紀中頃にルイ・ブランによりスイスのラ・ショー・ド・フォンで時計の組立工場からスタートしたブランド＜OMEGA（オメガ）＞。創業から160年もの歴史を刻み続けるオメガ社は高級時計メーカーとしてロレックスと並び、人気・知名度は群を抜いています。