HEUER SOLUNAR Ref.279.603

COMMENT

1976から1980年のわずか4年間のみに販売されたソルナーRef.279.603。船乗りに向けて生産されたモデルで、ニッチなターゲット層のためか生産数が少ないです。ベゼルとインナーディスクを各々使い分けることで、地球と月の間の引力によって引き起こされる、海潮の満ち引き時間を計測することが可能です。この時計は2つの使い方があります。1つ目はインナーディスクを用いる方法で、潮の満ち引きを直近2週間の間、知ることができます。満潮時間は地球の自転（24時間で1回転）と、地球の周りを回転する月（約28日で1回転）により、毎日約51.5分ずれてやってきます。ディスクの三角ポインターはそれぞれ51.5分ずつ配置されており、満潮時に時針に曜日を合わせることで、2週間分の計測が可能です。二つ目は、満潮時にベゼルの赤い三角形ポインターを内側のディスクに曜日に合わせることで、1日の潮の満ち引きの時間がわかります。ダイアルカラーは深みのあるブルー。ペンシルハンドの針と、バーのインデックスは、視認性を考慮したシンプルなデザインです。搭載機械はETA2790-1。ソルナー自体と同様に、1976年から1980年までの数年間しか製造されなかったムーブメントです。カレンダーはフランス語と英語の二か国語仕様で、2時のリューズで日付と曜日の合わせ・早送りができます。希少な、純正のラバーストラップとバックルが付属します。ベルトループは交換品です。

状態について、ケースは側面のエッジが立っており、研磨歴を一切感じさせません。打跡がなく、ほとんど使用されてこなかったのではないでしょうか。ダメージを受けやすいシルバーとブラックのベゼルは、劣化が見られません。インナーディスクとダイアルはミントコンディションです。気になるような汚れがなく、はっきりとした色調が際立っています。針やインデックスは均一なベージュカラーで、とても良い状態です。

モデル名のソルナーは“Solar” と“Lunar”の混成語です。そのユニークなデザインと希少性、海上での使用を目的とした時計のため、綺麗な状態ではなかなか見つかりません。 45mmのクッションケースと重厚なデザインですが、意外と薄型で軽量ですので扱いのしやすさに驚くことでしょう。旧ホイヤーが生産した、隠れた名品です。

BRAND

タグホイヤーの前身であるホイヤー社は、エドワード・ホイヤーによって1860年に設立された150年以上の歴史を持つスイス創業の老舗。 1985年からタグホイヤーとなり、世界のトップクラスの競技の場で公式時計として採用されるなど、誰もが知る名門ブランド。