ETERNA

COMMENT

50年代のメンズらしく、ぎゅっと詰まった意匠が特徴的なエテルナです。針とレターがゴールドで、外周を囲ったミニッツサークルが目を引きます。一段下がったスモールセコンドのインダイアルは、レコードのような掘り込みと、サークルレターが繊細です。大きなアラビア夜光に、スクリューバックのステンレスケース、など当時のスポーツモデルとしての要素が随所に見て取れます。耐震装置を備えたムーブメントもその一つです。耐震装置の機構は、当時のオメガと同等の機構を採用しています。角穴車が下に潜り込んだ、軸を保持しやすい輪列配置に加え、ゼンマイが切れた際の修理がしやすいように、それぞれ受けを切り分けて設計されています。ルビーを保持するシャトン留めの装飾は、IWCの83キャリバーやオールドLONGINESなどで見られる装飾で、どちらも機械の評価が高いメーカーです。妥協の無い機械開発が感じられるムーブメントです。

ブラックギルトダイアルは艶が60％程度残っている感覚です。和紙の繊維質を感じるような細かなパティナに覆われており、味わい深く経年変化しています。下地出しの印字技法はレターがきれいに残りますので、ミニッツサークルが際立って光ります。夜光はベージュカラーのトーンが好ましいです。ケースはたいへん状態が良いです。面取りされたベゼルの面がパリっとしています。裏蓋は深い刻印と、当時の物と思われる同心円状のヘアラインが確認できます。

10.5リーニュサイズの機械は「小さい＝技術力が高い」とされた時代におけるハイスペック製品です。さりげなく腕に付けられるミッドサイズは一見おとなしいですが、ブラックダイアルの存在感に思わず目を惹かれます。

BRAND

マニファクチュールであり、ロンジン、オメガに並ぶスイスの強豪メーカー。もともとムーブメントの製造会社としてスタートした歴史があり、その技術力、生産力において当時完成品メーカーとしては際立った存在として知られています。自動巻きムーブメントのローターをより滑らかに作動させるために、世界で初めてローター内部にボールベアリングを組み込んだワインディング・ローター「エテルナマチック」を発表し世界中の注目を浴びた高級時計メーカー。

HIGHLIGHT

Black Gilt Dial