SEIKO WORLD TIME Ref.6217-7000

COMMENT

1964年の東京オリンピックに合わせて販売された記念モデル「ワールドタイム」です。当時の聖火マークが裏蓋に刻印されています。都会的な爽やかさを備えたワールドタイムは、現行品では多々散見されますが、アンティークの中ではあまり見られない機構です。 操作方法は、インナーベゼルを操作し現在地の地名を黒いGMT針(24時間で盤面上を一回転する針)の先に移動することで、世界各国の時刻がひと目で確認できます。インナーベゼルは時刻に連動して動きませんので、確認の都度合わせます。リューズ0段引きでインナーベゼル合わせを、1段引きで日付合わせを、2段引きで時刻合わせを行います。手巻き機構は無いので、自動巻きのみで使用します。この世代のセイコーは精度が安定していますので、手巻きが出来ずとも、思いの外正確に稼働します。

文字盤はリネンダイアルの装飾がきちんと確認できる良い状態です。インナーベゼルに経年の変化が見て取れ、シャンパンゴールドのカラーに変化しています。インデックスに少々ダメージが見て取れますが、針は艶感が残り充分光ります。 ケースは使用による小傷が見られますが、目立つような傷はありません。面取りされたフラットベゼルや、太いラグはエッジが効いており、裏蓋は聖火マークがきちんと確認できます。過去の仕上げが感じられない程度の良さです。同系統のスナップバックは咬み合わせが強力で、ちょっとした錆からヒビが発生している個体を多く見ます。裏蓋を良く確認していますが、そうしたヒビが無い良い状態です。機械の調子は、オーバーホール後のテストでパワーリザーブ43時間、1日あたり＋15秒程度の動作を確認しています。自動巻きの巻き上げ性能と、インナーベゼルのファンクションが同様に快調です。

2か国を表示するGMT機能はスポーツデザイン極致の意匠になりますが、打って変わって、世界中の地名が明記されたワールドタイムは、世界地図のような広い世界観を憶えます。適度な経年が味わい深く、息が詰まった時にふと手元を見ると、小旅行を思い起こさせるそんなひと品です。

BRAND

ワールドタイマーは1964年の東京オリンピックを記念して、国内初のワールドタイム機能を搭載して発売された時計。サードモデルは、力強い大きなラグが特徴で、スポーツモデルのようなフォルムは非常に人気の高い個体。文字盤に世界の都市名が書かれたインダイアルや、インデックスとGMT針が接触しないように、GMT針が階段状に折れ曲がっているのも特徴。