GALLET MultiChron Regulator Cal.Venus 140

COMMENT

1929年にギャレットによって発表されたマルチクロン レギュレータークロノグラフ。時刻の表示よりも、計測機能を優先したダイヤルデザインです。ダイヤルはプレーンなホワイト。余白部と仕上げを変えており、角度によって陰影を見せます。レターやインデックスはブラックの全てプリントです。針は全てブルースチール。時針と分針はダイヤル上部に、センターの針はクロノ針のみで、外周のミニッツで細かい計測をします。時分針やインデックスが干渉せず、視認性を向上させています。下部のインダイヤルは、30分積算計です。積算計針は三角のデザインを取り入れた年式を感じるものです。搭載ムーブメントはVenus社のCal.140。クロノグラフは4時でスタート、ストップ。2時でリセットです。

ケースはエッジの効いた、過度な使用感を感じさせないコンディションです。ホワイトのダイヤルは経年変化により、斑点を見せています。プリントに剥がれが見られないのは、高評価です。ブルースチールの針はブルーが状態よく残っており、瑞々しさを感じます。弊社にて分解掃除済みです。このモデル最大の魅力である、クロノファンクションも好調に作動しております。

マルチクロンレギュレーターは独自の外観による、計測機能の読時性の良さから、パイロット、医師、レーサーに愛用されました。輝かしい功績として、インディアナポリス500レース初の公式時計となります。また、搭載ムーブメントであるCal.140は取扱権限をギャレット社が買収しており、他のメーカーにレギュレーターウォッチを供給していました。供給先はロレックス、ジラールぺルゴ、ホイヤー等名門が名を連ねており、レギュレーターウォッチにおいて、ギャレットが先駆者であることが伺えます。

BRAND

クロノグラフの名門。GALLETといえばクロノグラフのイメージが強く、1910年代から20年代にかけてワンプッシュ・クロノグラフを開発している。設立は1862年、ジュリアン・ギャレットによってスイスのラ・ショー・ド・フォンの地に＜ジュリアン・ギャレット社＞が。1883年には、息子のレオンに経営が託され、工場を＜レオン・ギャレット＞に。一方アメリカへの進出も早く、1864年になると子会社設立へ。クロノグラフはアメリカ海軍航空隊に供給され、40年代から50年代にかけてスイス空軍にも採用されるなど、長きにわたりパイロットたちの高い信頼も集めてきた。