LEMANIA Fully Black Gilt

COMMENT

その優れた設計から熱心なファンの多いレマニア社の、同社名義のクロノグラフです。ダイアルはブラックミラー、盤面の複雑な印字は全て下地出しととても手の込んだ手法を採用しています。インデックスはわざわざ下地の上にルミナスを塗布したデザインです。文字盤は外周からタキメーター、テレメーター、目盛りの細かなチャプターリング、インデックスを位置しています。ひし形の針「ロザンジュ」は採用しているメーカーが少なく、他ではあまり見ることのできないエッジの利いたデザインです。

ケースは少々の使用傷を帯びながらも、大きな損傷の見られない良プロポーションです。第二次世界大戦以前の製品ですので、この程度の使用傷が残っていた方が変な手が加わっていない証として安心できます。ブラックミラーのダイアルは小傷が確認できますが、艶が残っていますので好印象です。プリントではなくギルトですので、レターに欠けが見られません。インデックスのルミナスにはエイジングによる変色が見られます。当店にてオーバーホール済みで、44時間のパワーリザーブを確認しています。クロノファンクションも好調に作動していることを確認しており、実使用にも十分な精度を発揮してくれるでしょう。

ブラックミラーのレマニア、所狭しとデザインされた文字盤には男心をくすぶるものがあります。 近年はスピードマスターの人気が急騰しているようですが、ルーツを辿ればこの時計に行き着くことでしょう。

BRAND

1884年の創業当初から、 クロノグラフを手掛けるエボーシュメーカーとして活躍。1940年代には自社名を冠したミリタリーウォッチを製作し、イギリス軍やスウェーデン軍に軍用時計を供給しています。 特にイギリス軍には陸・海・空軍すべてに同社のクロノグラフが採用されるなど、信頼度の高さを証明しています。また、エボーシュメーカーとしては、1932年以降にOMEGAなどのムーブメントの供給元にもなっています。 1969年の、アポロ11号月面着陸の際にアームストロング船長の腕に巻かれていたオメガの＜スピードマスター＞の機械は、＜LEMANIA＞が手掛けていたことを忘れてはいけません。

HIGHLIGHT

Fully Black Gilt