MINERVA Ref.1335

COMMENT

1950年代のMINERVAです。ステンレス製のスクリューバック、ラウンドプッシュの防水ケースは一流メーカーのポテンシャルです。まだまだステンレスが高級だった時代、コストを掛けられない製品には真鍮にメッキをかけてケースを造っていました。ケースサイドと一体のラインを描くラグ、一段ステップしたベゼルは人気のデザインです。

ホワイトダイアルはきめ細やかな縦ヘアライン仕上げです。インデックスはルミナスのアラビアとバー。サークル状に文字盤の仕上げを変え強調させています。針は全て青焼きのもので、時分針にのみセンターにルムを配します。インダイアルは精緻なレコード盤のような溝が光を纏います。ダイアル外周のサークルラインには0.2秒単位の目盛りがあり、ヴィンテージテイストが感じられます。中央からインデックスライン、チャプターリング、ベゼル、そしてケース外周へと同心円の秀逸なデザインです。搭載ムーブメントは自社Cal.13.20です。

ケースは僅かな使用傷のみで、プロポーションが良いです。ステップベゼルの外周はフラットですので、正面から眺めた際のエッジの効いた真円シルエットは圧巻です。文字盤は若干の経年変化が確認できます。 年式を考慮すると状態は良い方で、夜光塗料は芳醇な色合いをしています。ブルースチールの針は色抜けが少なく、嬉しいポイントです。当店にて分解掃除済みで、パワーリザーブ46時間を確認しています。

1335の中でもツートンダイアルのものは初期型に分類されます。コストをかけた当時のものづくりが垣間見れる逸品です。

BRAND

自社内でムーブメントを生産する数少ないメーカーとして時計マニアには人気が高い。年間数千本生産する小規模のメーカーで、社員の数もオーナーも含めてわずか13人。工場の1階から３階でプレス、部品の組み立て旋盤、仕上げの作業が行われている。忙しい時期になると、村の住人である50から60人加わるという。そんな牧歌的なメーカーであったが、ある企業に買収され、社長のフレイ氏も退社してしまったという話である。