OMEGA

COMMENT

北欧デザインの金細工がまばゆいオメガです。非常に細かなフィリグリー（糸金）手法を採用し、ケースサイドやベルト全体まで施されており、まさに職人泣かせの作品です。ケースバックにはギョシェ仕上げが施されています。ベゼルに16個、ベルトに12個のダイアモンドが設置されています。プリズム効果により特有の7色の輝きを見せます。ダイアを支えるキャッチにはホワイトゴールドが使用されています。ダイアルだけを眺めると、シンプルにゴールドで統一されており、大人の優美さを感じさせます。ケースからブレスレットにかけては、スイスで製造されたものをベースにスウェーデンのデザイナーと職人により造られたもので、スウェーデン政府が管理するホールマークを確認できます。オーダーメイドによって作られており、国や年代は異なりますが、英国のロマン主義に影響を受けたヴィクトリアン王朝時代に作られたジュエリーのようにウキウキとさせられる逸品です。

コンディションは非常に良好です。現在ここにあるまで、大切に扱われてきたことがわかります。ケースやブレスレットに傷や欠損が無く、ダイアルには気になるようなくすみやは見られません。

緯度の高い地域である北欧諸国は、冬場の日照時間が極端に短く、必然的に屋内にいる時間を長く強いられます。そういった環境下で提案されるデザインは、スタイリッシュなテキスタイルや造形物で人々を明るい心にさせ、後に北欧デザインというテイストを確立し、デザイン洋式に大きな影響を与えるムーヴメントを起こしました。人を幸せにするために考えられた、着けるだけで気分が高揚する作品です。

BRAND

腕時計が普及し始めた1910年代から手巻き、自動巻と変遷を経て、クオーツ時計の開発によって機械式時計が衰退します。それ以前の1960年代に機械式腕時計はひとつのピークに達します。当時は日本でも三種の神器の一つだったオメガの時計。持つ人のステータスとなる高級品で、各メーカーが精度や防水性、耐久性など切磋琢磨し開発した時代。コストをかけて、より良い時計造りのためにしのぎを削っていました。